ケータイサイト考 本質はメディア機能によるコミュニケーションエンターテイメント性のドライブ

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ケータイの使い方だが自分の場合ほとんどがメールである。PCブラウザを使う機会はほとんどない。調査用に使っているauのケータイもほとんど使用していない。使うのは映画の上映時間の確認とメールで転送したミーティングやセミナーの地図の確認くらいである。ケータイコンテンツは数千円分を試してみた。しかしピンとくるものはまだ見つからない。直感的だがおそらく見つかることはない。

コンテンツを数千円分消費するにはかなりの時間使い込んでみないといけないのだがその過程でケータイコンテンツの最大の面白さは「コミュニケーション」だと思った。

24時間ネットワークにコネクトされたモバイル端末で標準化され一般に浸透しているメディア・ツールはケータイ以外にいまの日本にはなく、結果、人に一番近い位置にあるコミュニケーション環境になっている。たとえ環境が貧弱でもあらゆるユーザが常にコネクトされている状態であることのパワーは強大である。人と人のコミュニケーションの持つエンターテイメントパワーを数のエネルギーによってドライブさせることでコンテンツが貧弱かつ薄っぺらでもそこを起点としたエンターテイメント体験を脳内でパラレルに構築してしまう。

この威力が破壊的なのである。自分の場合は業種のせいもありケータイよりも常にPC環境でオンラインな人が圧倒的に周囲に多い為、ツール化したケータイ(通信端末としてのケータイ)でのコミュニケーションのきっかけは薄い。しかし、コミュニケーションインフラの構成比が変わった場合、事情は一変する。PCではなくケータイがインフラ化している環境、例えば、ITやデジタルコンテンツ系ではない業種やデジタル・ネットワークとは直接はかかわりがなくインフラが貧弱な教育機関・学校に属している場合など、PCでのオンライン環境を生活のインフラとして利用する機会の少ない集団(圧倒的にこうした層の方が大多数である)においてはインフラは光回線ではなくケータイの細々としたラインになるし、環境もケータイに装備されたケータイ用のメーラー・ブラウザがメインなる。それに付随してコンテンツもPC上での稼働を前提としてつくられたソフトではなくケータイ用につくられたライトなモノにならざる得ない。

この場合、コンテンツはそれ自体が主体である必要はない。重要なのは貧弱であれ何でアレ、接した情報を起点として実社会・サイバースペースを問わずコミュケーションエンターテイメントが成立するかどうかである。そして現在の日本ではそれが成立しうる。そういう構成比になっている。

下記は先日行われたGDCでの宮本氏の講演の引用である。

「開発者からは一本道のゲームにしてほしいと言われましたが、断固却下しました(笑)。結果、『ゼルダの伝説』をプレイしたユーザーは、寝るまえにもゲームのことを考えるし、みんなで攻略方法を考える。当時はチャットルームがなかったので、電話で情報交換をしたりしていました。結果、『ゼルダの伝説』をきっかけにすることで、競争ではなくて、コミュニケーションが芽生えたわけです。じつは、『どうぶつの森』は、『ゼルダの伝説』がインスピレーションになって生まれたものなのです。コミュニケーションだけで成り立つソフトを作ろうと考えていました」(宮本)

ゼルダの面白さはゼルダそのものにもあったがゲームを通じて人々がコミュニケーションエンターテイメントな空間をつくりだすことで加速された。つまりメディアとしてゼルダが機能していたわけだ。

ぼく個人の感想だが既存のケータイコンテンツのほぼ全てはそれ単体では消費するに値しない。しかし、そこに他者が介在してきた場合、事情は変わる。自分の周りに使っている人がいるかどうかでコンテンツの魅力が大きく変わるのだ。

ぼくが考えたいのはこのギャップが埋まる時にどのような変化が訪れるかである。モバイルブロードバンドがインターフェイスのマイナスを克服するのにあと数年はかかると思うけれど、いずれはギャップが解消される。そうなると今度はメディア機能(コミュニケーションによるドライブ)だけでなく、コンテンツ自体の価値に主軸が移るのかもしれない。あるいは対立構造による循環ではなく、それらの両立による別な位相の開拓もありうるんだろうな。

兎に角、単体で成立しない状況にはなるだろう。メディア機能を含むコンテクストによるドライブ(ここには範囲としての時間軸もはいってくる)を取り込むことができない作品・コンテンツはメインから外れていく、イイか悪いかじゃなくて、それが摂理なんじゃないかと思うのである。

アレかコレという二択ではなく

「ベストとベスト」

でいくのがベストであろうとぼくは考える。

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