彼女の首筋の刺青とシーフの話
カフェで「アラビアの夜の種族」を読んでいた。
帰り道、セブンイレブンに寄った。
白いジャージの女性が買い物をしていた。
彼女は全身から女の気を発している。
20代半ばかあるいは30歳前くらいだろう。
携帯電話の話が聞こえてきた。
「弁理士が…。お兄ちゃんが離婚で…。窃盗剤も同時にいけるよ、って言われてるけれどそんな話が。エ、あたしが?違うって」
やけにリアリティを感じさせる話の内容である。
話の続きが聴きたくなったがやめた。
「アラビアの夜の種族」は書に書かれた「話」に人々が魅了されとらわれていく話である。
いつの世も不穏な話は人々の興味をひく。
そして魅力的である。
破滅のミームがもつダイナミズムのなせる業であろう。
幸か不幸か自分は極めて真っ当に生きている。
自分は人との接点を持つに際し、社会的な価値ではなく「域」をもって人を判断する。
どの人にも本来、その人だけが持つ「域」がある。
「域」を持つ人はあらゆる意味で魅力的である。
「域」は「世界」と置き換えてもかまわない。
「域」とはその人の「世界」。
「域」とはその人の「視点」。
「域」が明確である人には「迷い」がない。
「迷いなきとき人、人にあらず」
とは言い得て妙である。
コンビニで見かけた女性の首筋にはアラビア語とおぼしき刺青が見えた。
写真のアラビア語は「刺青・シーフ」と書かれている。
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