未来の乗り物に乗ってきた! 〜i-REAL & i-unitが描くパーソナルモビリティの世界〜
お台場にMEGAWEVE(メガウェブ)というトヨタの展示施設がある。
MEGAWEBはパレットタウン内にある、「トヨタ・シティショウケース」「ヒストリーガレージ」「トヨタ・ユニバーサルデザインショウケース」の3館からなるトヨタ自動車の展示ショールームである。
MEGAWAVEを訪れたのは2005年の日本国際博覧会でトヨタ自動車が出典したi-unitに試乗するのが目的である。
i-unitはトヨタ自動車が開発した一人乗りの電動自動車で2005年度のグッドデザイン賞も受賞している。
i-unitのような一人乗り電動自動車はパーソナルモビリティとも呼ばれている。
曲線を強調したデザインはSFマンガででてきそうである。
このプロダクトについてはニュースや雑誌などで数多く取り上げられたのでモノ自体は認識していた。
しかし、パーソナルモビリティがどのような身体感覚をもたらすのかは実際に乗ってみないことにはわからない。
また、トヨタ自動車がいうように我々の日常生活を変化させる可能性があるのかどうか、運転時にはどういった感覚の変化をもたらすのかなど実際に体験しないことにはわからない要素が多い。
そこで実機に試乗し検証を試みることにした。
MEGAWEBでは一日に2回、i-unitを試乗体験することができる。
先着順なので土日は早めに会場に入る必要がある。
平日は混み合うことはないが各回ともに試乗できるのは先着5名に限定されるのではやめにいった方がいいだろう。
また試乗には普通自動車の運転免許証が必要になる。
i-unitの試乗に先立ち、i-REALのデモを観る機会を得た。
i-REALはi-unitの進化系であり、更に小型化された筐体はまさに「個人のための乗り物」であり「パーソナルモビリティ」という言葉にリアリティを与えている。
実機が稼働している様子を間近でみると2001年に発表された世紀のトンデモ発明品「セグウェイ」を思い出させる。
セグウェイは先進的なコンセプトのマシンであったが人々の足としては何かが足りなかった。i-REALやi-unitではセグウェイに足りなかった「何か」を補うための試行錯誤が続いているという印象である。
i-REALの走行モードでのスムーズさはなかなかのものだった。
しかし日本の場合、実際の路面は会場のようにフラットではなく段差も多い。
そうした環境でどれだけ「快適な移動」を実現できるのか今後の発展が楽しみだ。
デモに続き、i-unitに試乗させてもらった。
カメラでの撮影をデモンストレータの女性にお願いすると快く引き受けてくれた。
操作は全て右手のコントローラで行う。
コントローラの形状は「逆襲のシャア」に出てくるνガンダムのコクピットを思わせる。
左手の方の球形コントローラは生体認証に使われる。
右手のコントローラを倒し込むと前に進む。
動きは思ったよりもスムーズだ。
左右のへの方向転換はコントローラを左右にひねるのだがコントローラの質感が軽すぎる印象を受けた。
こうした運転の気持ちよさを演出する質感については改善が必要だと思われる。
将来的にはフィードバック機構によって重さをダイナミックに可変させるなどの改良が盛り込まれるのではないだろうか。
高速走行モードでは車体がリクライニングする。
この映像は様々なメディアで取り上げられたのでご存知の方も多いはずだ。
実際に乗ってみると高速姿勢モードの方が安定する。
ただしコントローラに関しては姿勢が低い位置の場合、身体の中心、つまり現在の車のように中心部にあった方が運転がしやすいように思った。
試乗をしてみての感想だが思った以上に違和感がない。
違和感がないということは言い換えれば「インパクト」が弱いということである。
乗ったときの目新しさでいえば「セグウェイ」の方が遥かに上である。
セグウェイの運転は間違いなく「新しい」ものであった。
i-unitは形状こそ未来的だが
「どこかで乗ったことがある」
運転感覚である。
そこには「あくまで生活のための乗り物」というトヨタの主張を感じた。
運転してみるまで気づかなかったことだが安全性に関しては相当なイノベーションが必要であろう。
というのもこうした乗り物が現行の車社会に乗り出した場合、共通のインフラを利用すると仮定するならばその共存はかなり難しいと言わざるえない。i-unitは自転車やバイクではなく「車」である。この車で現行の道路交通法が管理する日本の道路を走れと言われたら、正直になところ怖くて走れない。おそらく走りのルールが違うのだと思う。
だからパーソナルモビリティにはパーソナルな道路とそれに適した新しい交通法が必要だ。
いい面も悪い面もあるがともかく一度乗ってみないことには「パーソナルモビリティ」の是非を論じることはできない。
機会があれば是非一度乗ってみることをおすすめする。
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