朝の伊勢神宮は神世の森 斎場御嶽(せーふぁーうたき)以来の感覚と衝撃

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午前6時、神宮会館を出てひとり伊勢神宮の内宮にある正宮に向かう。
当初は6時30分に下のロビーに集合し、解説つきの早朝参拝に参加するつもりだった。

朝風呂にいった帰りに外にでて山をみあげた。
霞がかかった山はもののけ姫のオープニングを彷彿とさせる。

会館の早朝参拝への参加を止め、独りでいくことにした。

ロビーで地図を受け取り、正宮への道を歩く。

国道を避け、町を抜けていく。
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赤福本店のあたりから、五十鈴川に出て川沿いを歩く。
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川には鯉が泳いでいる。
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5分ほど歩くと鳥居が見えた。
その先に橋がある。

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この橋の向こうが内宮である。
橋の時点で空気が捻れる感覚にとらわれる。

風景が一度に頭の中に入ってくる感覚である。
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橋を渡り、しばらくいくといきなり前頭葉の3次元に45度のあたりにクラっとした感覚が走った。
沖縄の斎場御嶽(せーふぁーうたき)と同じ感覚である。
といってもガンダムのアムロのアレとは異なり、もっとジワッとした質感である。

入ってくるとしかいいようのない感覚だ。
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朝という時間帯がこの空気をつくっているのだろう。
広大な聖域に自分以外には誰もいない。
朝なのか夕方なのかも定かではない。
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手水舎で手を清めた。
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社務所が見えた。
奥に木が立っている。

目覚めた時には雨が本降りだった。
空は朝の青に輝いている。

社務所を抜けると森が続く。
巨木の森である。
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木々に茂った苔に触れると朝露なのか先ほどまでの雨なのか湿っていた。

屋久島でもそうだったが巨木が生い茂る森は雨が多い。
木々は雨によってつくられる。
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森を抜けると正宮の入り口が見えた。
この階段より上の撮影は禁じられている。
入り口には衛視がいる。
その奥には神主が詰めている。

正宮の正面は幕によって閉ざされている。
脇から正宮にお参りする。
作法は2拝2拍手1拝だ。
自分は手を合わせ一礼した。

森の中もずっとそうだったがこの場所でも前頭葉の左上にジーンとした感触が続いている。
正宮の隣に広場がある。
最初、ここが何のための場所なのか最初わからなかった。

正宮は20年に一度、現在の正宮から隣のこの場所に移築される。
これを遷宮という。

2013年にはこの場所が正宮になる。
遷宮前の敷地には木が生えていた。
大きな木である。

遷宮の敷地に立ち、木をみていたら、

何故か「いってきます」という言葉が出てきた。

正宮を後にして荒祭宮に向かう。
カメラマンのおじさんが道を教えてくれた。

荒祭宮への道で神主さんに「おはようございます」と声をかけられた。
挨拶を交わして道をいく。
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落ちることなく空中に葉が舞っていた。
蜘蛛の糸に釣られた葉はいつまでもそこにあった。

社務所まで戻ってきて、帰路につこうかと思ったが何かがひっかかっていた。
2拝2拍手1拝の作法を忘れた。
戻って、もう一度、やり直すか。
あるいはこの気分のまま帰るか。

戻って、やり直すことにした。
さっきのカメラマンが木漏れ日をねらって三脚を構えていた。

白い作務衣を着た夫婦が独自な作法で正宮へと登っていく。
階段の右端を二人で登っていく。
鳥居で二人に別れて拝み。
そして正面でお賽銭を投げ入れ、2拝2拍手の後、祝詞を唱え始めた。
不思議な光景であった。
二人にとってはそれがルールなのだろう。

しばらくして20人くらいの白い着物を着た人々が登ってきた。
神主の勉強をしている人たちであろうか。
先生とおぼしき人が先導している。
軍隊なみに統率されている。

二列にならび、2拝2拍手1拝し、ザッザッザっと行進のように歩を進め、去っていった。

彼らがいなくなった後に作法にのっとって僕もやってみた。
初回の集中力は既になかった。

彼らの姿が脳に影響を与えていた。
情報がすり込まれた為、うちからでる感覚が理性によって薄められた、と僕は思った。

彼らはそれぞれきりっとしているし、荘厳な印象も受けないではないが、あの行動は頭からきているように見えた。
少なくとも自然ではなかった。

川沿いに風を祭った神社がある。
風日祈宮(かざひのみのみや)というのだが彼らはここに向かっていった。
集中できそうになかったので順番を変え、彼らとは別の道をいった。

来る途中の水舎に薬の包みが落ちていた。
拾って紙に包んで持っていた。
それを捨てにいった。
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戻ると彼らの姿はなく、橋はひっそりとしていた。
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橋を渡るとまた前頭葉にジーンとする感覚があらわれた。

作法に意味はある。
しかし、それよりも感覚の方が自分には大切に思えた。

そして帰路についた。
職員が出勤してくる。

橋を渡った時の内宮といまの内宮は同じ場所だが異質な空間だと思った。
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会館に帰って朝食を食べた。
素直に美味しかった。
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赤福本店で買った赤福を食べながらこのエントリーを書いている。

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